青木ヶ原・森の中の忘れ物、はだしで何処へ
 富士山の麓に広がる森に入り きのこを探す、富士の麓に広がる森は樹海と言われ 
迷うとなかなか出てこれないらしい。

 人工林とちがい 樹木が規則正しく並んでいないので 見通せる範囲が 
せいぜい半径50メートル位 その先は見えない。
 足元も平坦ではない 2〜3メ−トルの起伏もあり、溶岩が口を開け天然の
落とし穴みたいに成っているところもある。

 手をついただけで手が傷つきそうな溶岩で その上に地衣類が堆積し 
枯葉や枯れ枝が重なり合い 土壌が有る場所もあるが それらが表土代わりになっている。
 100メートルも森の中に入ると 樹木で音自体が伝わりにくく、取り分け雨の日は大変危険、
雨音に周囲の音が かき消され、車道を水を切りなら走るタイヤの音も聞こえない。

 そんな所で きのこを探すのに夢中になり 下を向いたまま奥へ奥へと入っていった。 
 枝をくぐり 倒木を越え 下を向きながら右に左にと きのこを探し だいぶ奥まで入ってしまった。
 何気なく仲間に目をやると、すぐ傍にいたはずの仲間がいない。

 先ほどまで すぐ傍で枝を踏むような音がしていたが・・・ 
 あたりを見回しても 動くものが何もない・・・
 そのとき「パキッ」と音がした。

 なんと 先ほどまで 仲間が枝を踏む音だと思っていたが 
林内雨の比較的大きな水滴が落ちた音のようだ。
 たぶん 大きな落ち葉にでも 大粒の水滴があたり 小枝を踏むような音に聞こえていたのだろう。

 仲間を呼んだ、大きな声を出したが 返答がない・・・・
 自分でここまで来たのに 戻る方向に自信がない。

 しかし あまり迷っていると 仲間が心配して 大事(おおごと)にされてしまう、早く戻ろう。
 自分を信じ「たぶん方角はこっちだろう」と歩き始めた。

 迷いながらも きのこを探すところが 我ながらすごい。

 道なき道を歩いていると たぶん女性物と思われる スニーカーが1足 脱ぎ揃えたように置いてある・・・・

 枯葉がこびり付き 数ヶ月くらい放置されていたみたいに感じる。

 この刺しゅうの入った子供用か女性用のスニーカー こんなところで脱いで忘れていったのか 
「足を怪我する心配がありますよ〜」

 あまり冗談を行っている場合ではない、何となく 大きな木に
何か(ロープや他の物が)ぶら下がっていないか あたりを見回しながら歩く・・・

 そう言えば 男物の革靴も片方転がっていた、先が尖った黒い革靴で デザイン的にかなり古そう・・・
 不法投棄のゴミを「犬が森の中にでも持ってきたのか」などと思っていたが、両方ある場合は たぶん人間。

 片方だけでも 犬がこんな歩きにくい所まで くわえて来るわけ無いしな・・・
 さっきゴミだと思っていたから 黒い革靴を蹴っ飛ばした・・・

 キノコを探す所ではない、探し物は・・・・ 

 (出来れば)新しい状態か 真っ白な骨の状態が良い 途中の腐っているのは 見たくない・・・

 !「おっ」 少し離れた所に 白い丸い感じの物を発見!「ジャジャ ジャン〜」。
 思わず 確かめたくなり 確認のために そこまで近づいた・・・。

 結果は・・・・

 風にでも飛ばされ 森の中まで飛んできたのだろう
「な〜んだ、スーパーの買い物袋だ」少しホッとしたような・・・
 4〜5分歩いた、相変わらずどこに出たら良いのか判らないが 
レインウェアーのフードをずらし あたりの様子をうかがう・・・
 かすかに聞こえる・・ 「シャ---ッ」・・と、
水しぶきを上げ 走る車の音がする、「方角、間違っていなかった」

 車を止めた所からは少し離れていた。

 仲間に「どこへ行っていたんですか? 叫んで呼んだんですよ〜」 聞こえはしなかった。

 わたしも 呼んだが やはり声は届かなかったらしい、
ケータイを持たない私が 1時間も出てこなかったら、それこそ大事(おおごと)になっただろう・・・ 
今回は全然大した事なかったが、雨の日は怖いです。

 こんな深い森の中に 靴を忘れている方 落とし物にも注意です、落としたら拾えない物も有りますよ。
 
!靴忘れていかないように!(きのこを探していたのに、なぜか 靴が置いてある周辺を 見上げてしまう。

アートヘアーカンカン 

床屋がチョッとネタ

意見・感想