大川　岳実(仮名)君の場合

　(ある時カンカンに鼻筋に何か貼り付け、テープをバッテン印に貼り付け入ってきた。)


現役で 法政大学 新潟大学 武蔵工芸大学の三校に受かっていた大川　岳実(仮名)君。
全校に入学金を払っていたが迷った挙げ句 浪人を決意したいきさつがある。

カンカンにカットに来た　岳実君、新潟大学、武蔵工芸大学と法政が受かった事を知らせに来た、
だが、法政に行こうか行くまいか迷っている。
岳実は「法政も女受けがしない」とか「法政に行く奴はダサイ」などと のたまわる。

その時　 隣のとなりで　カットをしていたのが Ｏ沢Ｎ樹君（仮名） 法政を目指していたが、サッカー少年で、サッカーのせいでは無いだろうが、今回法政には受からなかった。

となりの隣りの椅子で　のたまわる、 岳実君の話を聞いて、小さな声で「あのやろ〜」と口に出したが　
「しーっ」武本氏に 口止めをされていた。
鏡越しにチラチラ岳実君を見ていたが、岳実君は余り目がよくない。

迷ったあげく、結局浪人をすることにしたが、合格した全大学に入学金を納めていた。

岳実君は勉強が出来るので、ゼミナールは無料で一年間行ける特待生、浪人してもお金がかからないと言っていたが・・・

「行かない所へ　入学金を使わなければいいのに」と　 人の懐を気にしてしまうが
お金持ちの岳実君の家では　大したこともなかろう。

平成５年受験シーズン 頑張っていた・岳実君は早稲田と東北大学に見事合格「やったねー」とカンカンで祝杯を上げた。
数人で集まり　小規模な合格祝いだ。

岳実君は 航空力学を学び将来は飛行機を作りたいので　 「夢を実現させるには東北大学に行くしかない」と 我々に熱い胸の内を語った。
「東北に行ってビックになってくる」　　「岳実エライ！」

「仙台でアパートを探し 契約を済ませて来た」と　言いに　カンカンへ 仙台土産の清酒を一本下げて来た。

本当は　すごーく　いい奴である　「一緒にまたスノボーに行けるといいな」

「岳実 東北に行ってしまうと　さびしくなるなー」。

アルバイトをしながら仙台で独りで頑張るそうだ。

しばらく時間が経ち 各大学の入学シーズンも終り 　岳実君も今頃学生生活を　エンジョイしているだろう。

４月半ば 久しぶりに岳実君の友達が、カンカンにやって来た、岳実君と無二の親友だ。

岳実君と高校最後の修学旅行で 悪ふざけをする計画で おならの匂いのする液体や、口のなかでカプセルを噛むと血糊になる物や ゴムで出来たゴジラマスクを使い悪ふざけをしたり、悪ふざけグッズを 二人で買いに行ったりして仲がいい はずだが・・

「熊谷君（仮名）久しぶりだね」 あれ〜・・・熊ちゃんご機嫌悪い？

熊ちゃん堰を切ったように「岳実　今どうしているか知っていますか」と話しはじめた。

話によると 岳実から電話がかかってきて困っていたらしく、熊ちゃんによると、岳実は東北大に行かないで　自宅に居るらしい。

おまけに高校時代の友達に　電話を掛けまくっているらしい、二郎（にろう）が決まった奴に「東北大に行こうか
早稲田に行こうか迷っている、相談に乗ってくれー」・・・・

同じ内容の電話を熊ちゃんに、何度となく掛けてくるのだ うっとうしく思った。
熊ちゃん「いま時間、女からも電話が掛かってくるから何度も電話を掛けてよこすな」と言って断った。

が 岳実君そんな事はお構いなし「お前は友達と女とどっちが大事なんだ」・・

二浪が決まっている熊ちゃん「ばかやろ〜ふざけるな」。

頭に来た熊ちゃん　「俺に東北に行ってビッグに成って戻ってくるぜと言っていったがスモールで家に居やがる」と言っていた。

結局　早稲田大学に入っていた 岳実君に聞くと女受けが一番の問題だそうだ。
カンカンで酒を酌み交わしたのは何だったのだろぉ？

これはもう！岳実を北海道に連れていくのは き ま り！ ・・

平成６年度スキーツアーに誘ったのは言うまでもない 法政を滑り、北海道の大学に決まったＯ沢Ｎ樹にも遇わせられる。

だが、散々誘ったが、我々の甘い誘いには乗らずに 今度北大医学部を受験するそうだ「早稲田の連中は馬鹿が多いから嫌だ」とぬかす岳実は、別な意味でスゴイと思った。

しばらくすると　岳実が下宿するらしいが、金持ちの家に生まれ育ち、めぐまれていたが、そんな　岳実が　貧乏生活に憧れを持つのは判る気がする。

ワザワザ　東京神田に三畳一間のアパートを借り　 念願の貧乏生活が始まる。

狭い部屋に住むの始めて勝手が判らず 電気製品をあれこれ持ち込んで使っては見たが、ヒューズを飛ばしてしまう
ブレーカーならばすぐ点くが　 あいにくドライバーもなく　ローソクの灯を頼りにしようと
ありったけのローソクに火をつけ勉強に励んだ。

しばらく経った時 急にめまいがした 吐き気もある 　岳実は酸欠で死にそうになった。

幾ら ローソクでも　多量に使い部屋を閉め切っていては 空気も汚れるはずである。

石油を使うストーブは使用禁止のアパートであるがローソクは良いのか？・・

カンカンに来てアパートの話をしているのは 自分がいかに貧乏か、岳実流の逆自慢である。

アルバイトで家庭教師をしているが、たまーに　焼き肉を食べさせてもらえるのが　嬉しくなるぐらい
憧れの貧乏生活になじんでいた。

ある時、神田に、ある焼鳥屋へ先輩と二人で行き 精を付けなければいけないと
レバーの刺し身を

ビタミン補給になるとばかりに食べた　先輩「ちっと臭わないか」、
岳実「肉は腐る寸前がうまいですよ」と 二人前以上平らげ 先輩の分まで手を出した。

が 翌日から お察しの通り、下痢　吐き気　寒気　熱に悩まされ アパートの共同のトイレを独りで占領して
アパートの住人には怪しい人間に見られながらも 　ひんぱんにトイレに出たり入ったり、下痢したりゲロしたりでいそがしい。

水と正露丸だけでろくに飯も食えず 三畳一間でただ独り一週間も生きていた。
あいにく死ななかったが これが貧乏生活だと感激する始末 懲りてない。

その後も懲りない　岳実君は 当たり屋と言う屋号のおでん屋で（おでん屋で
当たり屋ってのも 怪しい）またまた 卵に当たり 、また　前回のような感激を？したらしい？

色々話題を提供してくれたが 正月が過ぎてからしばらく来ない さすが学生、試験が近いせいか
・・・・

北海道スキーに わざわざ岩見沢から 、車で参加してくれたＮ樹に 　岳実の馬鹿馬鹿しいエピソードを話そうと計画していたが
Ｎ樹の酒癖の悪さ　悪ふざけが面白過ぎるので、全く忘れていた。

岳実君が 北海道スキーツアーも終わり ３月も始まり学生が春休みに入ったころでした
ひょっこり現れた、 顔を見ると鼻に変なものを付けている。

鼻を日焼けから守る時の様に、 プラスチックの薄い板に上から×印に大きく絆創膏が張ってある。

訳を聴いたら、Ｓ木屋で飲んでいて 飲み屋を出たとき、いきなり友達が殴られていた
。
逃げようとしたが「逃げたら　こいつを殺す」と脅かされ ボコボコに殴られ その上お金も四千円位取り上げられてしまった。

酔っぱらっている上 頭に来ていたのだろう 交番に行き いきさつを話し「早く捕まえに行ってください」と迫るが、
どうもらちがあかない 「警官の職務怠慢だ」と交番で息巻いて 警官と喧嘩をする始末。

結局 相手にされなくなり 茅ヶ崎警察本部に　毎日のように 犯人を探すように言いにい行ったが
「また来たのか」と言うような顔をされ、 ますます 相手にされない。

そんなウップンをカンカンで 晴らそうとするのか 口から泡を飛ばさん限りに喋りまくり、熱弁していた。

カンカンで「それって いま流行りのＫＯ強盗じゃん」と言った所、 本人は気づいてなかったらしく　

カットが終わってから　また警察に行くらしい、「いまから警察に行ってくる」と言って出ていった。

またまた　警察に行った彼は あまり相手にはされないだろう。

だいたい　なぜ殴られるようなことに成ったのか、本人は身に覚えがなく　判らないらしい。

察すると、たぶんだが「何処の大学はダサい」とか「あの大学は女にもてない」とか、各大学の悪口を言ってたのかも。

カンカンで話しているように、大きな声で話していたら、悪口を言われたその大学の関係者に　聞こえたら頭に来ると思うよ。

ところで 北大の医学部受験はどうなったかというと 本人の話では受験しなかったそうだ。

いるだけで楽しいヤツだし、まっ　話題には事欠かないね、別の意味で期待してます。